覗いていきます?と
ビニールハウスの中へ。
見せてくれたのは、
ミニトマトの芽だった。
「カレーに入れない方がいいよ。」と注意されたジャガイモが上士幌にはあります。
知り合った農家さんから、じゃがいもを買わせてもらって、渡される時にボソッと助言を受けまして。その人は嬉しそうに「この前、家で辛口カレーに入れたけど、甘口になっちゃった。」って。
早速、家で食べてみます。もちろん、カレーには入れませんでしたよ。むしろ、余計なことはせず、茹でてそのまま。
…じゃがいもって、芋なんだなぁ〜と、当たり前のことを思い出しました。しっかりと味がして、食べた時の食感、粘り気とまでは言わないまでも、噛み応えと食べ応えを感じる。強く育てられた、生命力の美味しさみたいなものを感じて。大げさな表現をしてしまいましたが、決して派手さを狙っていない説得力のある美味しさでした。
そんなお気に入りのじゃがいもをリピートしに、またその農場へ。(お気に入りのじゃがいもがあるって、なんか良いですよね。お気に入りの曲、お気に入りの服、お気に入りのじゃがいも。我ながら洒落ている…!)でも、今日忘れたくなかったのは、じゃがいものことではなく、その帰り道のことです。
じゃがいもを手に、ウキウキと帰ろうとしていたら、農場の入り口付近に設置されている大きな新しいビニールハウスがありました。チラッと見ると、農家さんがすかさず「ちょっと寄っていきますか?ミニトマトなんですよ。」この人がつくるミニトマト、今度はお気に入りのミニトマトができるのかしら、とお言葉に甘えて覗かせてもらいました。
しかし入ってみると、がらんとしている。奥の方まで見渡しても、ただ土があるだけ。あれ?と思ったら、足元に小さな芽が出ているのに気づきました。「最近、やっと芽が出たんですよ。」最初、冗談かと思ったら、農家さんは本当に嬉しそうに芽を見つめたり、チョンチョンと触ったりしていて。
…あっ、この人、農業に夢中だなって納得しちゃいました。美味しい野菜をつくる、ってことに夢中だから、美味しいじゃがいもが出来たことも、ミニトマトの小さな芽が出たことも、同じように喜べる。
『好きには勝てない。』ってやつですね。よく言う誰かのお墨付きや、どこどこのレストランに卸している、ってことなんかより、何倍も説得力があります。この人のつくる野菜は美味い。きっと季節がめぐれば、次は僕にお気に入りのミニトマトができることでしょう。とりあえず、僕は一旦、じゃがいもをいただきます。僕の場合、食欲には勝てないので。